夜鷹のカッツェ

後藤カッツェの独り言

すずしろ

 2019年名護市漁港で保護された黒猫かと思いきやタキシードと真っ白な手袋靴下を履いてオマケに口元だけ純白という可愛い毛色をした自立心と遊びが大好きな猫ちゃんが私の家族すずしろちゃんである。

私が独立して初めて飼う猫。実家で最大5匹の猫達と生活を小学校低学年からさせてもらっていた私だけど、すずしろちゃんはどの猫とも性格が似ていなかった。何より抱っこが嫌いなところが長けている。抱っこすると着地点が危険であろうが無かろうが抱っこされるなら自決するまで……っ!!と気迫を感じるほど腕の中から飛び出していく。実家の最後の猫ジャック君は腕を背中にまわすほどに抱っこが大好きであった。個体差に驚く。

 すずしろちゃんは朝私を起こす。大体3時30分〜5時までの間、愛のある踏みつけ行為を行い喉を鳴らしながら手に口元を擦り付けてくる。ゴロゴロと心地よい喉の音を鳴らしながら私を全体重かけて痛めつけてくるサディスティックさも今までの猫たちと違うものを感じた。他の猫達は鳴いて起こしてきたけれど、すずしろちゃんは武力行使である。でも喉の音というのは不思議な物でとどんなに猫に痛めつけられても、喉の音聴くと甘えてくれているんだなぁと愛を感じてしまうのだ。これは猫を飼った人しかわからないし、ドSな猫と生活を共にしてる人しかわからない感覚であると思う。

私の事を起こしたらキャットタワーのある部屋に駆け寄っていって爪とぎをしたり、窓を開けさせて外を眺めたりしている。そして私が一階に降りれば私よりも先に降りて行って朝食の準備を足下で待っている。朝食は小分け包装のシーバデュオ。人間の都合で簡単に提供できるものをあげてしまって申し訳ないのだが、本猫たちはシーバが大好きで、すずしろちゃんにいたっては尻尾を震えさせて興奮するほどである。どんだけ美味しんだシーバと、小学生の頃に一口チーズ味を口に入れて噛んでみた。シーバは外はカリッ中はトロッを売りにしている商品であるが、口の中に広がる魚のような生臭さとチーズ臭さ。人間の味覚には合わなかった。猫たちはこれを喜んで食べている。獣医いわく家系ラーメンのようなものだと言っていた。夕食はサイエンスダイエットという長年ペットフードを研究してきた会社のダイエットフードであるため、食いつきがとても悪い。人間でいうオートみたいな物でしょうか。猫用のかつお節をかけてやっと召し上がってくれる。味付けされたオートミールなら食べてやっても良いという気持ちでしょうか。

 すずしろちゃんは食べることも遊ぶことも大好きであったが2022年、新たな家族が増えて今は自信を失わせてしまっていないかと考えてしまっている。モーニングルーティンをしなくなっている事に気づいた。すずしろちゃんは起こしてくれる時もあれば起こしてくれなくなっていたり、手に纏わりつく愛情表現もしてくれない。私から心が離れている気がする。私自身の身体の不調と子猫の世話ですずしろちゃんとの時間が減ってしまったせいだ。2歳遊びたい盛りのすずしろちゃんを遊びに誘っても子猫達が来ないか心配で遊べないようだ。汝、先住猫を愛せとどの猫飼育本にも書いてあるし獣医さんも言っていた。子猫よりもお姉さんを大切にしないといけない事は痛いほどわかるからなんとかしたい。昔チビちゃんというハチワレタキシード猫を飼っていたが、ジャック君が仲間に入って私はまだ幼稚であったために子猫のジャックばかりに構ってしまった。ストレスをチビちゃんに与えてしまったのだろう当時不治の病であるFIPを罹患してしまった。ウェットタイプだったので腹水が溜まり苦しい思いをさせてしまった後悔があふ。こちらのFIPはどういう訳で発症するかハッキリしていない。でも私の裏切り行為でチビちゃんを傷つけてしまったことに変わりはない。すずしろちゃんがそうならないように私は失った信用をこれから構築していこうと思う。すずしろちゃんだけの時間をしっかり作って2人だけの時間を沢山作ろう。もちろん他の猫たちも大切だから均等に愛していく。すずしろちゃんが好きな事たくさんしてあげよう。

 一緒にトイレに入ったら、手洗い場の水をコップに入れて飲みたがるすずしろちゃんが大好きだ。

 寝てる時や作業しているとオモチャを咥えて持ってくるすずしろちゃんが大好きだ。

 ウェットフードを準備していると感極まって鳴いてしまうすずしろちゃんが大好きだ。

 ブラッシングが大好きで、ブラッシングされる場所を指定してくるすずしろちゃんが大好きだ。

 私が病んで起きれなくなった時片時も離れず一緒に寝てくれたすずしろちゃんが大好きだ。

もう一度愛してもらえるように生活を整えるねすずしろちゃん。すずしろちゃんの最期までそばにいさせてください。